2021年7月18日、大阪八尾市服部川夏祭りの太鼓台へ抗ウイルス・抗菌コーティング施工が完了し、今回のNEWSでは保存会の近田様と青年団団長の大原様のインタビュー動画を掲載いたしました。
岡本:よろしくお願いします。清華堂の岡本です。今日7月18日の撮影で服部川の夏祭りに来ております。本日は保存会の近田様と青年団団長の大原様に来て頂きました。
近田様・大原様:よろしくお願いいたします。
岡本:近田先生との関係をご紹介しながらこの夏祭りに至った経緯や、その思いをお聞きできればと思っております。近田先生との出会いは15年以上前ですが、私が生徒で近田先生が高校の教師で体育を担当されていて、2005年に卒業したので16年ぐらい前です。ある日突然、近田先生から「岡本、最近 抗ウイルスの事業をやっいるらしいな、すぐ来い」と連絡が来て、4月の1日ごろにご説明に上がりました。夏祭りを企画していて、7月18日に向けた衛生対策を協力してやりましょうということで、弊社の抗ウイルス・抗菌コーティングを採用いただきました。そして今日7月18日に晴れて御神輿を出して、地域の方が集まっているのですが、今日実現できたのも色々な経緯があったと思います。いろんな日々状況が変わって、どこまでがOKラインでどこまでがNGラインか判断でご苦労されたかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?
近田様:去年が全く何もなかったので、今年はどうしても「何かしたいなと」思いました。「何かしたいな」と思った時に何か基準を探すと、基準って人それぞれ違うじゃないですか。これが安全、これが安全じゃない、自分たちでこのラインまで行けば、ここまでは出来るだろうと基準を積み上げていってできるように、どこかのマニュアルを探すのではなくて、自分たちでマニュアル作りをしよう、それで出来るとこまで行ってみようと、それでダメであったら仕方がないと、スタート時の心の中にあったんですね。もちろん若い青年団はやりたいだろうし、毎年毎年積み重ねて覚えていかないといけないし、いっしょに出来ればいいなと思って、近鉄電車を見ると、どこかの会社が頑張って近鉄の全車両をやっていると、これは岡本じゃないかと思って電話をしました。
岡本:人それぞれのラインがあって、杓子定規の考えでいくと中止でいいじゃないかとの話になりますが、そこを一歩乗り越えて何か形を探そうとする事にすごく共感いたします。大原様はどういう思いで向き合われたのですか?
大原様:昨年度が本当の団長をさせて頂く予定だったんですけど、世間的にもすごくコロナが広まってたんで出来ないなと確信を持っていたのですが、翌年、団長をさせてもらえることになって、保存会の方たちやいろんな人から「頑張って!」「何もなし」はなしで、太鼓を出すだけでも「何かしよう」と言う意見をいただいて、それならもちろんやらせていただきたい、いっしょに会に混ざって色々ここはあかんかな、これは良いかなと、青年団でも考えたり、定期的に意見交換をしたりと色々あって、賛否両論ありながら団長をさせてもらってるのですけど、団員の中でも今はちょっと、、、という意見もあり、どこまで自分の意志を押して行こうかとすごく悩みました。
岡本:年齢を超えた話し合いがあって、まさに地域のつながりを感じるんですけど、みなさんがおっしゃってた賛否両論の話があったのですが、中には結構抵抗感を示される方もいらっしゃたのではないでしょうか?合意というか、開催に至るまでのご調整はいかがだったのでしょうか?
近田様:とりあえず、やるやらないは、この7月の半ばの状況を見て最後は判断すればいいんですけれど、準備をしようと、いつGOサインを出されても、皆が納得してやれる準備をしようと言うのは、スタートの段階で例年通りやることありきでは反発するばかりなので、逆に去年のように「何もなしではダメなんじゃない」と言う意見もあって、気を使ったのは「どちらの意見も正解ですよ!」と地域の中で反目しあうことが対立軸になることはやめましょうねと、プレッシャーはあったんですけどね。落とし所は「飾りつけと例年通りの太鼓台を出して、子供たちに叩かせてあげようと、それをもって夏祭りをしようとすればどうですか?」と提案しました。最初はこのご時世にするのかと言われた事もあったのですが、「どうしても無理ならしません。出来るルール作りをしますので、この準備の段階でこの地区でまん延防止を皆でしたら出来るんじゃないんですか?その努力をみんなでやってみましょうよ」というのが僕らのモチベーションで、ここまでどうにか来れました。彼らは一生懸命で、大変だったと思います。僕らは歳が上だから、彼らは若いので色々な意見をまとめないといけないし、保存会がプレッシャーの団体になりかねないので、そのプレッシャーの中、良くまとめてくれたなと感謝しています。
岡本:先輩方と若手の思いが食い違う事はあったのですか?
大原様:正直、両方の意見を聞くと、ある時はありました。やっぱり僕らが活動をしようっていう、話し合いの中はすごい時期だったので、どこもお店もやっていないような時期で「その中で活動していいのか」「青年団を集めていいのか」と葛藤は正直ありました。
岡本:逆に先輩からの後押しをいただいた瞬間はあったのですか?
大原様:OBさんからご意見やサポートの連絡をした時に「お前が好きなようにしろ。団長はお前や。団長がしたいのであれば俺らはサポートする」と言っていただけたので出来る限りやろうと。
岡本:あえて活動することはプレッシャーを引き受ける事だと思うのですが、プレッシャーを引き受けてでもやりたい、そのお祭りを開催したい、その地域との繋がりとは、どういう思いで向き合って来られたんでしょう?
大原様:そうですね、ざっくり言ってしまうと、小さい頃から子供会に入って太鼓を叩いて、祭りの二日間ずっと付いて行ってて、16歳で青年団に入って、今、24歳になり、当たり前になってしまってるって言うのは正直、夏になれば祭りの準備をして、7月になれば太鼓を担いでみんなでご飯を食べて、みんなで騒いでって言うのが当たり前になってるんですけど、去年はなくて当たり前じゃなかったんだなと、お祭りが無かったら会わないんですよね、地域の人たちとこの祭りがあるからこの数ヶ月間は普段会わない人と会って絶対関わることがないような年代の人たちと話が出来て、それはめっちゃ貴重かなと思うんで普通に生活していたらないような経験かなって僕は思うんです。
岡本:先ほどもいろんなお子さんが叩いてらっしゃって、大きいお子さんは自慢気に叩いてて、小さなお子さんはリズムを合わせながら横の人に教えてもらって「こんなリズムですよ」という風景が微笑ましかったのですが、いろんな地域の方が寄り添いあって、話し合うということも、町の教育と言えばおこがましいのですが、色んな人が何かを残していく、伝えていく場になっているのでしょうか?
近田様:この地域もお年寄りが増えて、若い人や子供も減っているので、いざ何かをする時に例えば災害のこともあるんですけれど、そういう時にお祭りがあるから繋がっている、これがやっぱり一番繋がる、市役所がどうのこうの、地区がどうのこうのよりお祭りで人と人が繋がっているのをどう生かして、教育や福祉もそうですが、地域の防災もどうやって行くのか、今、私は防災の係の担当もさせてもらってるんですけどこれが無かったらたぶん土台として成り立たないし学校もそうだし、そういう意義が崇高なものだなと思っているんです。
岡本:私も何か普段 用事があって人に会うようなスケジュールなのですけれども、今もふらっと来てふらっと顔をだして、それでそのふらっと来たのが話につながって長居しちゃったり、すごくお祭りの意義を感じております。どれぐらい前から繋がってきたお祭りなのですか?
近田様:このお宮さんの昔からの資料で残ってるのは、江戸時代の狛犬、これは新しいんですけど、古い狛犬に安政年間の年号が入っていて、ここのお社はそれくらいから少なくともあリました。このふとん太鼓が今年で三年目なのですが、その前は七十年担いできた太鼓なんですよ。歴史を辿れば江戸期から綿々と繋がっている形は変われど、なかなか伝承を探すのは大変なんです。
岡本:三百年近く残っているのですね。
近田様:元々はこのだんじりを引くお祭りだったのですが、流れ的にふとん太鼓に変わっていった歴史もあります。とにかく形は時代時代に変わりながらも、江戸時代から続いてるんじゃないかなと。そこを調べ上げる義務も私にはあるのですが。
岡本:私の仕事も伝統産業のものでそれを守っていく、大切なものを守っていく仕事をしているのですが、やはりその担い手も少なくなってきて、無理して手をあげないと残していけない、正にそういう状況なのですが、大原さんは青年団を引き受けるときの思いや、地域に対する思いはいかがですか?
大原様:正直、団長をするまでは特に深く考えてはいなかったですね。いざ自分が一番上になるとやっぱり楽しいだけじゃないなっていうのは、楽しいことするだけが青年団ではないなと。やっぱりちゃんとずっと代々きたものなので、そこは例年通り守りながらもでも新しい風が必要かなと。難しいですけどその思いは伝わりますね。
岡本:今回、抗ウイルスのコーティングは採用をいただいたのですけれども、実際に施工した上で安心感につながってるようなところはどこかありましたでしょうか?
近田様:基本的にこれをした段階で そこまでやってくれるんだからお年寄りは家に居てると、まだまん延防止、緊急事態宣言出てる中でそれでいいのか?と言ったときに、まず物から人へというところを無くそうと、ちゃんとコーティングをやりましたよと言うだけで、やっぱり安心感が目に見えない菌のことだから目には見えないんですけど「ちゃんとやってますよっていう安心感」はあるよねと声は聞かせていただきました。地域の方を説得するにも大きな要素になって会議では「そこまでやってるの」っていうものがあるので、助かりました。
岡本:先ほどおっしゃってた準備するときの衛生対策の向き合い方っていうのが、地域の方にも届いたのかのかなと感じておりまして、私がコーティングに入った時は本当にみなさん歓迎ムードで、近田さんが事前に土壌を作っていただいたんだなと感じておりました。コーティングだけではなくて色々な一つ一つの選択がみなさんの歓迎ムードに繋がっていったのかと思っております。他の地域のお祭りも何かきっかけを探してるかと思うんですが何か他の地域に伝えられることはありますでしょうか?
大原様:「やりたい」っていう気持ちを前面に出せば出来るのかなって思うし、結果はどうあれ、やりたい人はゼロではない限りはできるかなと思います。もし迷ってるなら、まずやりたい人を集めてみていただきたいです。
岡本:今日実際お祭りにみんなが集まった風景を見られていかがでした?
大原様:子供たちもいっぱい来てくれて、正直、嬉しいなと、楽しく叩いてくれたらもう、、、
岡本:大変でしたけど、開催して良かったなというところですね。近田様はいかがですか?
近田様:やっぱり最初にも言いましたけど、自分たちでわがままじゃなくて確固たるルール作りをする。やりたい人間の気持ちがあったらルールを自分たちで作ってやるべきだと思います。服部川に生まれ育って他の地域のお祭りや、服部川はここまでルールを作ってやったよっていうモデルケースになれば。そう言うものがモチベーションになっています。
岡本:貴重なご意見ありがとうございます。最後に近田様から若手団長へのメッセージであったり、大原様から普段言えないような愚痴もこの場を利用して頂いて言っていただいても大丈夫ですが、一言ずつコメント頂いても宜しいでしょうか?まずは近田さんから若手へそして服部川の地域の方へ思いをお聞かせいただけますか?
近田様:本来、去年の団長さんがまた引き続きやっていただいていて、青年団員不足っていうのも大きな問題になってる中で、明るく頑張って辛さをあんまり見せないので、いつも何を言っても「わかりました!」と言ってくれるので、頼もしいです。上の方の説得や何か困ったことがあれば受け皿になれたらいいなと。気持ちのある人間、若い人間をどんどん作ってくれたらいいなと思います。地区の方々にはこれを機会に、お祭りを土台に疫病退散、ウイルス対策、防災、高齢福祉に全部繋がっていくので、積極的に皆さんにこれからも青年団、保存会を地域協力して頂けたら、今年のお祭りの取り組みがそのきっかけに成ればと思っております。頑張ってください。
岡本:大原様はいかがですか?
大原様:そうですね、正直言うとプレッシャーはめっちゃありました。「わかりました」と言って帰るんですけど、同じ同級生の副団長と「どうしよう」と悩むことも多々ありました。「それでもこうしたいよね」と言う意見は、「お前らがそうしたいなら俺らから地区に通したる」って言っていただきました。直接、僕らが言えないことは言っていただいたので愚痴はないです。
岡本:地域の拠り所という時間に今日は参加が出来て本当に嬉しい気持ちです。どうもありがとうございました。
収録日:2021年7月18日