近畿日本鉄道の衛生対策 全車1938両への抗ウイルス・抗菌コーティング施工完了

2020年8月末、近畿日本鉄道の衛生対策として、特定のウイルスや細菌を持続的に減少・抑制させるため、全1938両への「抗ウイルス・抗菌コーティング」の実施を完了いたしました。今回のNEWSでは近畿日本鉄道株式会社 技術管理部(車両)の垂水 健一様と、株式会社清華堂 四代/取締役 岡本 諭志の対談動画を掲載いたしました。

岡本:8月末までに全車両の施工を終えることが出来ましてお疲れ様でした。社内の反応とかは如何でしょうか?

垂水様:無事、8月末までに全車約1900両を施工して頂き、本当に助かっています。社の中でも注目度は結構高く、今でもお客様に対して車内の広告や放送で、いろいろアピールさせて頂き、お客様に少しでも安心して鉄道を使って頂くということに貢献出来ているのかなと思っています。

岡本:お客様からお話はあったりされましたか?

垂水様:私が直接伺ったことがないのですけども、ネットの反応を見ていますと、SIAAの今回の施工で貼り付けしましたSIAAのマークをtwitter等に上げていただいたり、近鉄の取り組みを見てもらっている事を実感出来ています。

岡本:お力添えが出来て嬉しい限りです。無事に終わりまして、弊社のSRW-30と言うコーティングを採用に至るまでいろいろ社内でもお話があったりしたのですか?

垂水様:そうですね、コロナウイルスの感染拡大を受けまして、社内で少しでもお客様が安心して鉄道をご利用いただけるよう何かできないのかと色々模索しておりまして、移動に対してコロナウイルスに感染するというリスクを抱えてしまいますので、そこに対して何かできないかと、いろいろ情報収集をさせてもらっていました。

これまでの考え方で言うと、安全安心というのは事故無く、お客様を目的地まで届けるという事だけに重きをおいて、車両の整備や新しい車両の開発を進めていたのですが、今回コロナウイルスの感染拡大を受けて、お客様の考え方であったり行動様式もいろいろ変わってきていまして、その中で何かしらこれまでとは違う考え方をしないといけないな、ということに気付かされました。その中でも現状の感染拡大がまだ先行きも不透明な中で、有効なワクチンも無い状況の中で、お客様に安心して鉄道をご利用いただける車内環境の提供というところで、まず一つの課題について何かできることはないかということで情報収集してました。

その中で、今回清華堂さんとお知り合いになることが出来て採用に至ったということですね。

岡本:他の会社からも結構話があったんじゃないですか?

垂水様:そうですね、何社かお話を聞いたり色々とインターネットで情報を収集したりしていたのですが、今回、清華堂さんを選ばさせていただいた理由としましては、やはり一番大きなところというのはSIAAの認証を取られてるというところですね。私もSIAAについて詳しくはなかったので、そのへんは清華堂さんの方が説明して頂くのが良いのかもしれないんですけど、色々教えて頂いた話では、ISOの認証を受けているであったり、SIAAの定める安全基準に適合しているというところですね。いろいろ勉強させていただきまして、どうしても抗ウイルス・抗菌加工という目に見えないものになってしまいますので、お客様にどう伝えたらいいのかというところを我々もアピールしていけたらいいのかなと考えた時に、しっかりとしたエビデンスを清華堂さんが押さえられてまして、これであれば我々も自信をもってお客様に安心安全を伝えられるというところが一番のポイントとなり、清華堂さんを選ばせて頂きました。

岡本:有難うございます。SIAAの話がありましたけれども、やはりその安心の証としてSIAAのマークがあることが我々の生命線だと思ってます。このSIAAまで行き着いたきっかけというのが2年前から動いておりまして、平成30年の台風21号の時に、大阪に甚大な被害を及ぼした大型の台風の時に、我々の家業は美術表装・表具と文化財の修復を主にしているんですが、取引先の美術館様から収蔵庫がカビてしまったというご相談がありまして、「美術品自体のコーティング・抗菌や、真菌を抑えるノウハウで、その空間に対する菌の対策がありませんか?」との宿題を2年前に頂いておりました。

それで1年間かけてずっと研究して、どういった液剤や施工方法であれば、一番菌やウイルスに効果的かなと模索していた中、社会がコロナに入っていたんですけども、その時点で我々は自分達の武器としてこの「SRW-30」であれば菌やウイルスに効くだろうというのは把握していたんですけども、今後おそらくは似たような商品がたくさん出てくる中、先ほど垂水さんがおっしゃった目に見えないサービスをどういう風に伝えていけるかなと最初に着手したのがそのSIAAの認証でした。

本当にそのマークを持ってそこにいる人が客観的に安心して生き生きできるか、というところを最重視しておりまして、その想いが届いた形となって本当に良かったと思います。

垂水様:我々の施工の証として近鉄車両の約1900両全ての車両にSIAAのマークを貼っていますので、それがやはりお客様に一番見て頂きやすいのかなというところを、今走ってる電車を見ながら実感しております。

岡本:実はSIAAの発足は1998年なんですけど、その2年前の1996年、O-157が流行した年に抗菌と謳えば何でも飛ぶように売れるような製品が出回っていたようで、そこに一線を画すというのがSIAAの発足の経緯だと聞いています。ですので、その中でも成分を偽って製品化しているものもある中で、安全性と菌・ウイルスに対しての結果が客観的に承認されているのは、今のコロナの時代とすごく似ている状況かなと把握しております。

かなり個人的な見解なんですけど、弊社の会社の考えではないんですが、SIAAのマークが僕にとって奈良の大仏様みたいに感じておりまして、奈良時代に天然痘が流行った時代・社会が不安定になった中で、人々の安心の意味で、奈良の大仏を建立したということを歴史的に知っておりまして、目に見える形を持って、人が想いを寄せる拠り所になるのかなと思ってもおります。形は全く違うんですけれども、SIAAマークひとつひとつが大仏様のように人の拠り所になってくれればいいなという思いで貼っております。

垂水様:我々もSIAAマークがより世間一般のお客様に浸透していってもらうことで、我々の取り組みもより浸透すると思っているのですが、例えば清華堂さんの今後の展望であったり、こういうところに拡大していきたいなというところもあるのでしょうか?

岡本:はい、SIAAでは特に安全性能基準というのが高く設けられておりますので、より小さなお子様が集まる教育施設学校などを特に重点的に展開していきたいと考えております。

逆に近鉄様は9月16日というタイミングで、これからの取り組み方や変わらぬ姿勢ということはございませんか?

垂水様:実は今回撮影をしておりますこの車両も、大阪阿部野橋と吉野をつなぐ観光列車の青のシンフォニーの客室の中で、車両全て抗菌・抗ウイルス加工をしております。お客様に近鉄電車を利用される時に、安心してご利用いただけるということを少しでもアピールしていきたいなと思ってます。

また、これからコロナの状況はどうなるかわからないですが、お客様の行動様式に合わせて、必要な対策を継続して考えていきたいなと思っています。

清華堂様が先ほどおっしゃってたようにファミリー層や様々な層にSIAAマークを広めていってもらうことで我々の取り組みも、よりお客様に伝わるかなと思っていますのでよろしくお願いいたします。

岡本:こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございました。

収録日:2020年9月16日