柿渋塗の抗菌性の確認

3つのポイント
・日本古来から耐水、防腐剤として用いられてきた
・タンニンのもつタンパク質の凝縮作用
・約95%の抗菌効果を確認

「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。

柿が赤くなると良い季節になると病気になる人が減り、医者が困るという本来の意味のほかに、柿はミネラルやビタミンが豊富で、昔から二日酔いに効果があるといわれる健康食品であるという別の意味も含まれています。
渋柿を原料とする「柿渋」は日本古来より、耐水・防腐剤として用いられてきました。
表具を祖業としてもつ清華堂でも、柿渋塗りを施した箱を美術品の保存箱として用いたり、
空気は通すが、水は通さない性質とその防腐性によって、作品の乾燥台に用いたりしてきました。
抗菌性に関しては、柿渋が多量に含むタンニンのもつタンパク質との凝縮作用によって、抗菌やさらに抗ウイルスの効果があることが知られています。

今回、ATP検査により、その柿渋塗りの抗菌性を確認してみました。
使用したルミテスター検査器では、その数字の2000以下を日常的な衛生環境、厨房のまな板レベルでは500以下という清潔さの目安があります。
検査結果に驚き。

柿渋塗り施工前の和紙:2269
柿渋塗り施工後の和紙:127

約95%の生菌数を抑えた結果となりました。
歴史が培ってきた自然由来の素材による衛生対策。
サスティナブルな社会において学ぶべき叡智が日本にあります。